225 kV マイクロフォーカス管向け新 HDP ターゲット登場。高出力密度で高速・高分解能検査を実現。

11月 18, 2025

Comet Yxlon の FF35 CT および FF85 CT は、デュアルチューブ設計による高い柔軟性と卓越した精度が最大の特徴です。半導体パッケージ、アディティブマニュファクチャリング、自動車部品、材料研究など、多岐にわたる分野で活用されており、内部構造を迅速かつ高精度に可視化することが求められる現場においてその実力を発揮します。 そして今回、これらのシステムがさらなる進化を遂げました。両機種に搭載可能な 225 kV マイクロフォーカス・ディレクショナルビーム管に、新たに高出力密度(HDP)ターゲットを採用。従来と同じ筐体サイズおよび水冷式焦点安定性を維持しながら、出力密度を2倍に向上させました。 これにより、検査時間の短縮、より精細な画像取得、そして長期にわたる安定したパフォーマンスを実現します。

なぜ出力密度が重要なのか?

X線検査において、『検査スピード』と『画質』の両立は大きな課題となります。スループットを高めるために焦点サイズを大きくすると分解能が低下し、ターゲットへの出力を上げるとX線量は増えるものの、長期的にはターゲット材の劣化リスクが高まります。

HDP ターゲットは、この長年のジレンマを解消します。焦点サイズを変えることなく出力密度を2倍に向上させることで、ターゲットへの熱負荷を増やさずに、より多くの有効X線量を生成します。

その結果、同じ分解能を維持したまま検査時間を短縮することも、同じ出力条件でより高精細な画像を得ることも可能になります。スピードと画質のどちらも妥協する必要はありません。

HDP ターゲットの性能検証

検証のため、Comet Yxlon のアプリケーションセンターは RWTH アーヘン大学 溶接・接合研究所(ISF)より提供されたサンプルを用いて評価を実施しました。

ワイヤーアーク積層法により制作された鋼合金製の溶接サンプル(70 × 80 × 55 mm³)を評価対象とし、FF35 CT システムに搭載した 225 kV 管を使用。標準ハイパワーターゲットと HDP ターゲットを、同一条件(200 W、0.89 mA)での比較スキャンを行いました。

その結果、出力条件が同じであるにも関わらず、HDP ターゲットは明らかに高い分解能と優れたディテール再現性を実現。従来のスキャンではぼやけて見えていた微細な溝や界面部の接合状態も、より鮮明かつ明確に表現されました。

Standard Target HDP Target

標準ターゲットと HDP ターゲットで撮影したワイヤーアーク積層鋼サンプルの比較。同一出力条件でも、HDP ターゲットでは溶接界面がより鮮明に表現されています。

注目部分でより鮮明なディテールを再現

バルブと本体を接続する溝状の接合部の注目部分(ROI = region-of-interest)を拡大すると、画像の鮮明さの違いは一目で分かります。HDPターゲットでは、これまで識別が難しかった微細な構造の境界まで明確に描出され、不完全な接合や材料内部の異物混入といった潜在的な欠陥を、より効率的に検出できます。

また、別の領域にある細い流路内の微小な金属堆積物についても、HDPターゲットは余剰材料の輪郭をより鮮明に可視化しました。これにより、より正確な寸法評価と欠陥の特定が可能になります。

Standard Target HDP Target

ROI 比較:HDPターゲットでは、溝状の接合界面をより高い精度とコントラストで描出できます。

Standard Target HDP Target

HDP ターゲットにより、流路内の金属介在物をより明確に描出。

バッテリー検査:より微細な構造を可視化

バッテリーの検査は、産業用CTにとって特に難易度の高いアプリケーションの一つです。高密度材料、微細な電極層構造、そして厳しい検査時間の制約といった要素が重なるためです。

 HDP ターゲットの性能をこの条件下で検証するため、バッテリーパック (225 × 110 × 590 mm³) を用いて評価を実施しました。 FF35 CT に 225 kV 管を搭載し、218 W・0.97 mA の条件でスキャンを行いました。

標準ターゲットと HDP ターゲットはいずれも約3時間45分でスキャンを完了しましたが、画像品質には明確な違いが現れました。HDP ターゲットではアノードとカソード間のコントラストが大きく向上し、45 µm ボクセル分解能においても各層の境界がより鮮明に描出されました。

Standard Target HDP Target
Standard Target HDP Target

HDP ターゲットがもたらすメリットとは

High-Density Power (HDP) ターゲットの採用により、FF35 CT および FF85 CT の検査性能をさらに高いレベルへ引き上げます。

  • 微細分解能を維持したまま、スキャン速度を向上
  • 同一出力でもより鮮明な画像を取得し、欠陥検出性能を向上
  • ターゲット材料への熱負荷を低減し、装置の安定稼働時間を延長
  • 溶接解析からバッテリー、電子部品まで、幅広いアプリケーションに対応

HDP ターゲットは検査ワークフロー全体の性能を高め、研究開発から生産現場まで、エンジニアが微細構造をより迅速かつ高い信頼性で解析できる環境を実現します。

ぜひ実機でご体感ください

HDP ターゲットの性能を、ぜひ実際にご覧ください。2025年11月18日~21日にドイツ・フランクフルトで開催される「Formnext」では、Comet Yxlon のブースにてライブデモを実施します。革新的な HDP ターゲットが、どのように検査ワークフローを加速させるのかを直接ご確認いただけます。

ご来場が難しい場合も、ぜひ弊社チームまでお問い合わせください。
お客様のサンプルデータを用いた個別デモンストレーションや、リモートセッションのご案内も可能です。

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